@.キミと俺。

------------ザァァアッ

なんだよ、このどしゃ降り.....
俺今日、傘持ってきてなかった気が.....
迎えきてもらうかなー。

とかなんとか考えながら、靴箱に手を伸ばす。
今は放課後、どしゃ降りで部活は休み。
大ちゃんと亮ちゃんは、自主練するって言って先に帰ってしまったから、ひとりでここまで歩いてきた。

履き慣れた靴に足を入れると、外に見覚えのある人影を見つけた。

「うわーもう、最悪っ!なんで雨なんか降るかなー...あ」

そこにいたのは、髪から足まで全身ずぶ濡れの大嶋さんだった。
雨に対しての愚痴を零して、そのあと俺を見て、しまった、という顔で口を手で慌てて押さている。

「........やー、あはっ!なんか濡れちゃって!あー参った参った!」

独り言なのか、ひとりで笑いながら濡れて重そうなスカートを両手で持って、パタパタと仰いでいる。

「傘もってないの?」
「あー、まさか降るとは思わなくてね、忘れてた!それより、りんねちゃん見てない?」

りんねちゃん?
あ、柚木さんのことか。
クラスの人は大体柚木さんのことを、りんちゃんって呼んでるから、名前で呼ばれると誰の名前?って一瞬なってしまう。

「見てないかなー...って、どこ行くんだよ?!」

気づくと、傘を持たずにまた大嶋さんが外に出ている。
なんだ、やっぱりMなのか?この人。
心の声が聞こえたのか、大嶋さんは一瞬俺を睨みつけた、ような気がした。

「ま、いいやっ、それじゃあ会ったらよろしく伝えてて!」
「お、おー」

大嶋さんが走っていってしばらくすると、まるで嵐が去っていったように静かになった。
てか、全然雨やまない!
とかなんとか考えながら、ちょっと外に足を踏み出す。

--------

「あれ、楠野くんだ。どしたの?」

!?

いきなりの声に驚いて振り返ると、そこにはさっき大嶋さんが探していた柚木さんがいた。

「タイミング悪いなー、大嶋さん.....」
「ん、りんごがどーしたの?」
「や、なんでもない、そいえば大嶋さん、柚木さん探してたけど!」
「うそっ、なんか言ってた?」

これは、言うべきなのか、言わざるべきなのか?
迷いに迷って、俺は口を開いた。

「よろしく伝えててって」
「そんだけ?ちょ、間が空いたわりには全然な内容だったね、ふふっ」

柚木さんは、笑いながら外に出る。
雨の勢いは止まらなくて、しばらくして戻ってきた柚木さんはもちろんずぶ濡れ。

「雨やまない、あ〜早く帰りたい」
「何かすることあるの?」
「や、何もないけどねっ」

明らかに焦っている、何か言えないことでもするつもりなのか?
そう思いながらも、あえて口には出さない俺。

「さっきから思ってたんだけど、楠野くんお腹うるさいよー」

お腹?

「え、俺鳴ってないけど........」
「でも、さっきからゴロゴロって」
「それって雷じゃn(((((」

そう言い掛けた瞬間、目の前がピカッと光った。

--------ゴロロ、ドーーンッッ

っ!?
か、雷
け、結構近かったような。

※楠野くんは、びびりさんでした※

「「き(ぎ)ゃぁぁぁあ!!?」」

同時に叫びまくる、俺たち。

だけど、その叫びは雷の音に向けてだけではなかったようだ。

叫んだ瞬間見えた、歪んだ景色。
それに気づいた時、目の前がふっと真っ白く染まった。

白い空間の中、目の前にぼんやりと人が見えた。
最初はまさかと思ったけど、やっぱり見間違えるはずがない。
16年間付き添ってきた人物。


あれは...........俺?



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